小型移動式クレーン技能講習

先日小型移動式クレーン技能講習を受けて、移動式クレーンの免許を取得しました。私は、玉掛けの資格を保持しており、玉掛けとクレーンの資格が揃ったので、救助工作車のクレーンを使用して、重量物を引き上げ動かすことができます。

技能講習がどのような内容だったのか紹介していきます。

小型移動式クレーンとは

移動式クレーンとは、「荷を動力を用いてつり上げ、及びこれを水平に運搬するころを目的とする機械装置」です。

消防では、救助工作車のクレーンを用いて、重量物を排除するときにクレーンの資格が必要となります。

小型移動式クレーン技能講習

技能講習の概要について説明します。

受験コース

持っている資格によって受講コースが分かれていました。講習時間数、受講料が異なります。

区分  所持資格時間  受講料  
Aコース・クレーン運転者免許 ・デリック運転士免許 ・移動式クレーン運転士免許 ・揚貨装置運転士免許のうちいずれかの運転士免許を受けている方。
・床上操作式クレーン運転技能講習修了証又は、玉掛け技能講習修了証を受けている方。
16時間31900円
Bコース・なし20時間34100円

講習時間

講習時間もAコース、Bコースによって異なります。Aコースの方が一日目が短いです。頃となっているのは、2日目の最後には学科試験、3日目の最後には実技試験があるからです。

区分1日目2日目3日目
Aコース8:20~13:508:50~18:00頃8:50~18:30頃
Bコース8:20~18:208:50~18:00頃8:50~18:30頃

1日の時間割も紹介します。この時間割をみると、学生時代を思い出しますね。しかし、休憩時間が5分と短いため、休憩時間はあっという間に終わってしまいます。

時限時間
18:50~9:50
29:55~10:55
311:00~12:00
昼食 
412:50~13:50
513:55~14:55
615:05~16:05
716:10~17:10
817:20~18:20
918:25~19:25

持ち物

  • 筆記用具(鉛筆、消しゴム、マーカーペン)
  • 保安帽
  • 安全靴、作業用皮手袋(実技で使用)
  • カッパ(雨天のみ)

マーカーペンについては、講習のテキストにラインを引くので必要になります。保安帽については、貸し出し用もあるため、必ず必要ではありません。安全靴に関しては、かならず用意しなければならず、講習の1日目にも3日目には用意しておくようにとアナウンスがあります。作業用手袋は、講習を受けるところで販売をしていました。

服装

作業のしやすい長袖長ズボン

学科

1日目と2日目、講義を受けて2日目の最後に学科試験があります。学科試験とありますが、講義をしっかりと聞いていれば簡単に合格することができます。なぜならば、講義中に学科試験に出題されるところが発表されるからです。講義をしっかりと聞き、休憩時間に少し振り返るだけで合格点数をとることができます。

出題箇所

私が受講した講習のときに出題されると言われたテキストをここに紹介します。赤文字で記している箇所が回答する言葉です。回答する方法は選択方式なので、なんとなく覚えていれば回答することができます。

  • 事業者は、法及びこれに基づく命令により設けた安全装置、覆い、囲い等(以下「安全装置等」という。)が有効な状態で使用されるそれらが点検及び整備を行わなければならない。
  • 臨時に安全装置等を取り外し、又はその機能を失わせる必要があるときは、あらかじめ事業者の許可をうけること。
  • 一の貨物で重量が1トン以上のものを発送しようとする者は、見やすくかつ容易に消滅しない方法で当該貨物にその重量を表示しなければならない。
  • 事業者はクレーンの運転その他の業務で政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ当該業務に就かせてはならない。ƒ
  • 事業者は、移動式クレーンの巻過防止装置については、フック、グラブバケット等のつり具の上面又は当該つり具の巻上げ用シーブの上面とジブの先端のシーブその他当該上面が接触するおそれのある物(傾斜したジブを除く。)の下面との間隔が0.25メートル以上(直働式の巻過防止装置にあっては、0.05メートル以上)となるように調整しておかなければならない。
  • 事業者は、令20条第7号に掲げる業務については、移動式クレーン運転士免許を受けた者でなければ当該業務につかせてはならない。ただし、つり上げ荷重が1トン以上5トン未満の移動式クレーン(以下「小型移動式クレーン」という。)の運転の業務については、小型移動式クレーン運転技能講習を終了した者を当該業務に就かせることができる。
  • 事業者は、移動式クレーンについては、移動式クレーン明細書に記載されているジブの傾斜角(つり上げ荷重が3トン未満の移動式クレーンにあっては、これを製造した者が指定したジブの傾斜角)の範囲をこえて使用してはならない。
  • 事業者は移動式クレーンを用いて作業を行うときは、移動式クレーンの運転者及び玉掛けをする者が当該移動式クレーンの定格荷重を常時知ることができるよう表示その他の措置をこうじなければならない。
  • 事業者は地盤が軟弱であること、埋設物その他地下に有する工作物が損壊するおそれがあること等により、移動式クレーンが転倒する恐れがある場所においては、移動式クレーンを用いて作業を行ってはならない。
  • 事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行うときは、移動式クレーンの運転について一定の合図を定め、合図を行う者を指定してその者に合図を行わせなければならない。
  • 事業者は、移動式クレーンの運転者を荷をつったままで運転位置から離れさせてはならない。
  • 事業者は、移動式クレーンを設置した後、1年以内にごとに1回、定期に当該移動式クレーンについて自主点検を行わなければならない。
  • 事業者は、移動式クレーンについては、1月以内ごとに1回、定期に、次の事項について、自主検査を行わなければならない。
  • 事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、巻過防止装置、過負荷警報装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラの機能について点検を行わなければならない。
  • 事業者は、この節に定める自主検査の結果を記録し、これを3年間保存しなければならない。
  • エアクリーナは燃焼に必要な空気をシリンダに吸い込むとき、じんあいを吸い込まないようにろ過し、シリンダ、ピストン等の摩耗を防ぐ働きをする。
  • 燃料噴射装置は、燃料ポンプ、燃料噴射ノズル及び燃料フィルタ等からなる圧縮行程の終わりに高圧化された燃料が燃料噴射ノズル燃焼室内に霧状に噴射され、空気圧縮熱によって自然着火する。
  • 過給機は、エンジンの出力を増加させる働きを持ち、シリンダに送り込む空気をブロアにより圧縮して空気密度を高めるものである。
  • フライホイールは、エンジンの「吸入→圧縮→着火・燃焼→排気」の4行程のうち、エネルギーを発する着火、燃焼行程のエネルギーを一時蓄えてクランク軸の回転を円滑にするためのものでクランク軸後端に取り付けられている。
  • 水冷式エンジンの冷却装置では、冷却水の過熱による沸騰を防ぐためラジエータ及び配管全体を強化した空間構造にすることで加圧し、沸点を高くして冷却効率を高める「加圧式」がとられている。
  • 潤滑は一般にエンジンオイルと言われ、クランクケース下部のオイルパンに蓄えられ、オイルポンプにより各部分に送られる。
  • セルモータはエンジンを始動するのに使うモータでセルモータの駆動力がフライホイールに伝えられ、クランク軸を回転させる。
  • バッテリはエンジンを始動するときにセルモータの駆動、ディーゼルエンジンの始動前に燃焼質を温めて燃料の着火を助けるヒータプラグ又はインテークエアヒータの加熱に使用する。
  • 内燃機関は軽油を燃料とするディーゼルエンジンとガソリンを燃料とするガソリンエンジンとがあり、原動機として機動性が要求される移動式クレーンに適している。
  • 油圧の原理は、「閉じ込められた液体の一部に加えた圧力は、液体のすべての部分にそのままの圧力で伝わる。」という。パスカルの原理を応用したもの。
  • 油圧駆動装置は、油圧式ポンプから送られてきた圧油を機械的な運動に変える装置である。運動方式により、直線運動をする油圧シリンダと回転運動する油圧モータに大別できる。
  • パイロットチェック弁は、一方向には油を自由に通過させるが、その逆方向の流れは止める逆止め弁に対して、ある条件の時に逆方向にも流せるようにしたものである。移動式クレーンにはアウトリガー油圧回路破損時の安全装置等として使用されている。
  • 作動油の通路を空けたり、絞ったりした作動油の流量を調整し油圧駆動装置の作動温度を制御するのが流量制御弁である。
  • 油圧装置を安全に作動させ、作業に必要な力を維持できるように、作動油の圧力をコントロールするのが圧力制御弁である。
  • シーケンス弁は、別々に作動する二つの油圧シリンダにおいて、一方がその行程を完了したら他方の油圧シリンダが動き始めるというように順次に制御する場合に使用される。
  • エアブリーザはタンクで空気の出入りの際に、タンク内に入る空気と一緒にちりやごみが入らないようにするものである。給油口と兼用したものが多い。
  • 圧力計は、回路内の圧力を示度するもので一般にブルドン管式圧力計が広く用いられており、積載形トラッククレーンでは、荷重計として用いられる。
  • オイルクーラは油温が異常に上昇した場合に熱をとる働きをする。
  • 作動油量の点検は作動油温が常温(20℃〜30℃程度)で行うのが望ましい。
  • フィルタは作動油のゴミを取り除いてオイルを常に清浄に保ち油圧機器の故障を防ぎ、寿命を長くする上で極めて重要な部品である。機械の駆動時間(使用期間)により定期的にフィルタを交換する必要がある。
  • 人体に電流が流れ、苦痛その他の影響を受けることを感電という。
  • 電力を送るには損失をできるだけ少なくするため高い電圧にする。このため、変電所や開閉所までは特別高電(22000〜500000V)で送電され、一般需要家におくる電圧は6000Vで送り、柱上変圧器で電圧をさらに100Vや200Vに落として、行うことが義務付けられる。
  • 送配電線に接近しての作業計画の作成にあっては、事前に地元の電力会社等送配電線類の所有者と作業の日程、方法、防護措置、監視の方法等について、十分な打ち合わせを行うことが義務付けられる。
  • 作業を行う場合にも、労働基準局長通達に従い、関係作業者に対し、作業計画を周知徹底させるとともに、感電防止に対する措置が講じられているか、監視責任者が配置されているか確認する。
  • 電圧の高い送電線はジブワイヤーロープ等が直接電線に触れなくても放電することがある。
  • 移動式区クレーンとは、「原動機を内蔵し、不特定の場所に移動させることができるクレーンをいう。」と定義されており、ここでいうクレーンについては、「荷を動力を用いて吊り上げ、及びこれを水平に運搬することを目的とする機械装置」とされている。
  • つり上げ荷重5トン以上は移動式クレーン運転士免許取得者、1トン以上5トン未満は、小型移動式クレーン運転技能講習修了者、0.5トン以上1トン未満は特別教育修了者でなければ運転できない。
  • ジブとは移動式クレーンの上部旋回体の一端を支点として腕をいい、その箱状から箱形構造ジブとラチス構造ジブがある。つり上げ荷重が5トン未満の小型移動式クレーンはほとんど箱形構造ジブである。
  • ジブ長さは、フートピンの中心からジブポイントまでの距離をいう。
  • ジブの傾斜角とは、ジブ基準線と水平面のなす角度をいう。
  • 作業半径とは、旋回中心からフックの中心を通る鉛直線までの水平距離をいう。
  • つり上げ荷重とは、アウトリガーを最大に張り出してジブ長さを最も短く縮小してジブの傾斜角を最大(作業半径を最小)にしたときに負荷させることができる最大の負荷という。つり上げ荷重には、フック、クラブバケット等のつり具の質量が含まれている。
  • 定格荷重は、移動式クレーンの構造及び材料並びにジブの傾斜角及び長さの応じて負荷させることができる最大の荷重からそれぞれフック、グラブバケット等のつり具の質量を差し引いた荷重をいう。
  • 定格総荷重とは、定格荷重にフック等のつり具の質量を加えた荷重をいう。
  • 地切りとは、巻上げにより、つり荷を地面、作業床又はまくらからわずかに離すことをいう。
  • 揚程とは、ジブの長さ、ジブの傾斜角に応じてフック等のつり具を有効に上下させることができる上限と下限との間の垂直距離をいう。
  • 積載形トラッククレーンは、トラックの荷台と運転室の間などに小型のクレーン装置を搭載し、走行用の原動機(エンジン)から動力を取り出してクレーン装置の作動を行うもので、つり上げ荷重が3トン未満の機種が多い。
  • ラフテレーンクレーンは、一つの運転室で走行とクレーン操作が行える自走するクレーンで、分類ではホイールクレーンに含まれる。
  • クローラクレーンは、走行用にクローラを装備した走行フレームに上部旋回体を架装したもので、走行は、クローラであるため設置面積がタイヤより広く、不整地や軟弱な場所でも走行することができる特徴がある。
  • 旋回装置は下部走行体を設置した状態で、上部旋回体を右及び左に旋回させる装置で下部走行体のフレーム上部に旋回ベアリングを取り付け旋回ベアリングの上面に上部旋回体が取り付けられている構造のものが多い。この方式の旋回装置の場合は無限旋回が可能である。
  • トラッククレーン、ホイールクレーン及び積載形トラッククレーンには、クレーン作業中の安定性を増す目的でアウトリガーが装備されている。アウトリガーの作動は油圧式で、H形アウトリガーとメ形アウトリガーがある。アウトリガービームは設定された張出幅で必ずロックピンを固定して作業する。
  • 普通よりのワイヤロープは、ラングよりのワイヤロープに比べ摩耗の度合いは多いが、よりがもどりにくく、キンクを起こしにくいため、取り扱いが容易で一般的には普通Zよりのワイヤロープが使われる。
  • ジブの伸縮は、油圧シリンダのみで行うものと、ジブの侍従を軽くするため油圧シリンダと伸縮用ワイヤロープの組み合わせで行うものがある。
  • ジブ傾斜角指示装置はジブの傾斜角、ジブの長さ(段数)による空車時定格総荷重又は空車時定格荷重の関係を表示する装置でジブの側角に取り付けられている。
  • PTOは、走行用エンジンの動力を取り出してクレーン用動力に利用するための装置であり、道路走行からクレーン作業を始める前にOFFからONに切り替えて油圧ポンプを駆動させる。クレーン作業を終えて道路走行する前にONからOFFに切り替えて油圧ポンプを停止させる。
  • 移動式クレーンの取り扱いで最も注意しなければならないことは、機体の設置地盤を確認し、アウトリガーを適切に使用すること及び安全装置の機能を停止させないこと等の転倒防止措置である
  • アウトリガーを設置する場合は、最大張出しが原則である。アウトリガービームを左右均等で最大に張り出して、ロックピンを挿入して固定する。
  • アウトリガーのフロート1脚にかかる最大荷重は、機体質量と実際につっている荷の質量の合計の70〜80%に相当する荷重となることがある。したがって、アウトリガーの設置地盤はその荷重以上の地耐力が必要である。
  • 合図者の巻上げの合図で玉掛け用ワイヤロープを緊張させながら、荷重計でつり具を確認していったん停止し、定格総荷重の範囲内であれば地切りをして更にいったん停止し、玉掛けの状態を確認する。
  • 旋回する場合は、合図者の合図にしたがって旋回する。重量物をつって、旋回するときは低速で行うこと。旋回速度が速いとつり荷が遠心力で外側に振り出され、作業半径が大きくなったことと同じ状態になり、移動式クレーンを転倒させるおそれがある。
  • 移動式クレーン作業においては10分間の平均風速が10メートル/秒以上の場合は、作業を停止する。
  • 雷が接近したときは、ジブに落雷するおそれがあるので作業を中止し、ジブを走行姿勢にして待避する。
  • クローラクレーンをトラック等で自走で積下しを行う場合は、作業を指揮する者を定め、その者が積込み作業の手順の方法、手順について決定し、直接の指揮により作業を行う。
  • つり上げ荷重3トン以上の移動式クレーンには、定期自主点検とは別に登録性能検査機関による2年ごとに1回の機能検査、ジブ等を変更したときには変更検査を行うことが法令によって義務つけられている。

実技

荷(ドラム缶)をクレーンを用いて、高低差のある決められたコースを移動させるものでした。

荷を持ち上げるとき、クレーンの位置、フックの位置を確認するなど、確認事項がありましたが、操作に関しては、検定と同じコースで練習させてくれるので、自信をもって検定に臨むことができます。

まとめ

小型移動式クレーンについて説明しました。

学科や実技について試験合格のための試験があると言いましたが、講習をしっかりと聞いていれば余裕で合格できます。

消防でできることを増やすために、小型移動式クレーンの資格をとってみるのはどうでしょうか。

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