ハイパーレスキューってなに

ハイパーレスキュー隊、かっこいい名前で目指している人も多いのではないでしょうか。しかし、ハイパーレスキュー隊をしっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。ハイパーレスキュー隊について説明していきます。

結論からいうと、ハイパーレスキュー隊は特別高度救助隊で、能力の高い隊員と多くの救助用器具を積載している消防車で構成されています。

要は、人命救助特化の救助隊の中でも特に優れた救助隊ということになります。かっこいいですね。

では、これから詳しく説明していきます。

救助隊とは

ハイパーレスキュー隊を説明する上で救助隊という言葉をしってもらわなければなりません。消防は火を消すことだけをしていると思う人もいるかもしれませんが、救助隊とは人を助けることに特化した隊です。そして、救助隊は別名レスキュー隊ともいいます。

では、救助隊についてさらに詳しく見ていきます。救助隊とは、消防法36条の2に書かれています。

消防法36条の2 

市町村は、人口その他の条件を考慮して総務省令で定める基準に従い、この法律の規定による人命の救助を行うため必要な特別の救助器具を装備した消防隊を配置するものとする。

総務省令で定める基準は、救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令で、救助隊は市町村が配置する人命の救助を行うため必要な特別の救助器具を装備した消防隊と定義されています。

救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令には、4つの救助隊(救助隊、特別救助隊、高度救助隊、特別高度救助隊)及び別表1〜別表3の救助隊に必要な資機材について書かれています。

救助隊に必要な資機材

救助隊が乗る車両に積載している資器材について説明します。救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令に書かれている資器材は別表1~3です。以下のように車両の中にはたくさんの救助器具が積載されていて、救助隊員はそれを使いこなさなければなりません。

別表1

分類品名
一般救助用器具かぎ付きはしご
三連はしご
金属製折りたたみはしご又はワイヤはしご
空気式救助マット
救命索発射銃
サバイバースリング又は救助用縛帯
平担架
ロープ
カラビナ
滑車
重量物排除用器具油圧ジャッキ
油圧スプレッダー
可搬ウインチ
ワイヤロープ
マンホール救助器具
救助用簡易起重機*
切断用器具油圧切断機
エンジンカッター
ガス溶暖気
チェーンソー
鉄筋カッター
破壊用器具万能斧
ハンマー
携帯用コンクリート破壊器具
検知・測定用器具生物剤検知器***
化学剤検知器***
可燃性ガス測定器
有毒ガス測定器**
酸素濃度測定器**
放射線測定器**
呼吸保護用器具空気呼吸器(予備ボンベを含む。)
空気補充用ボンベ*
隊員保護用器具革手袋
帯電手袋
安全帯
防塵メガネ
携帯警報器
防毒マスク
化学防護服(陽圧式化学防護服を除く。)**
陽圧式化学防護服**
耐熱服*
放射線防護服(個人用線量計を含む。)**
検索用器具簡易画像探査機**
除染用器具除染シャワー**
除染剤散布器**
水難救助用器具*潜水器具一式
流水救助器具一式
救命胴衣
水中投光器
救命浮環
浮標
救命ボート
船外機
水中スクーター
水中無線機
水中時計
水中テレビカメラ
山岳救助用器具*登山器具一式
バスケット担架
その他の救助用器具投光器一式
携帯投光器
携帯拡声器
携帯無線機応急処置セット
車両移動器具*
その他の携帯救助工具
備考*印のものは、地域の実情に応じて備える。
**印のものは、特別救助隊、高度救助隊及び特別高度救助隊を除く救助隊については、地域の実情に応じて備えるものとする。
***印のものは、特別高度救助隊を除く救助隊については、地域の実情に応じて備えるものとする。
表中の救助器具については、はん用器具によることができ、また、同種の機能を有する器具により代替することができるものとする。

別表2

分類品名
重量物排除用器具マット型空気ジャッキ一式
大型油圧スプレッダー
救助用支柱器具*
チェーンブロック*
切断用器具空気鋸
大型油圧切断機
空気切断機
コンクリート・鉄筋切断用チェーンソー*
破壊用器具削岩機
ハンマドリル
呼吸保護用器具酸素呼吸器(予備ボンベを含む。)
簡易呼吸器
防塵マスク
送排風機
エアラインマスク
隊員保護用器具耐電衣
耐電ズボン
耐電長靴
特殊ヘルメット
その他の救助用器具緩降機
ロープ登降機
救助用降下機*
発電機
備考*印のものは、地域の実情に応じて備えるものとする
表中の救助器具については、はん用器具によることができ、また、同種の機能を有する器具により代替することができるものとする

別表3

分類品名
高度救助用器具画像探索機
地中音響探知機
熱画像勅使装置
夜間用暗視装置
自信警報器
電磁波探査装置*
二酸化炭素探査装置*
水中探査装置*
検知型遠隔探査装置**
備考*印のものは、高度救助隊については、地域の実情に応じて備えるものとする
**印のものは、地域の実情に応じて備えるものとする
表中の救助器具については、はん用器具によることができ、また、同種の機能を有する器具により代替することができるものとする

救助隊の種類

救助用器具を説明した後は、救助隊について説明します。救助隊は救助隊、特別救助隊、高度救助隊、特別高度救助隊の4種類があります。

救助隊

救助隊については、救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令の第二条に書かれています。

(消防常備市町村における救助隊の編成及び装備の基準)

第二条

消防本部及び消防署を置く市町村(一部事務組合又は広域連合を設けて消防本部及び消防署を置き、消防事務を処理している場合には、当該一部事務組合又は広域連合とする。以下「消防常備市町村」という。)の配置する救助隊は、人命の救助に関する専門的な教育を受けた隊員五人以上で編成するよう努めるものとし、別表第一に掲げる救助器具及び当該救助器具を積載することができる救助工作車その他の消防用自動車一台を備えるものとする。

救助隊は、人命の救助に関する専門的な教育を受けた救助隊員と先ほど説明した別表1の救助器具が必要であることがわかります。

また、救助隊の配置基準が第三条に書かれています。

第3条

1 消防常備市町村の配置する救助隊の数(以下「救助隊の配置基準数」という。)は、当該市町村における消防署の数とする。

2 消防常備市町村の長は、当該市町村の区域内における人命の救助を要する事案の発生状況、人口、面積、地形その他の地域特性(以下「地域特性」という。)を考慮して、前項の規定による救助隊の配置基準数を増減することができる。

基本的には、消防署の数と同じ数だけ救助隊を配置しなければなりません。

特別救助隊

特別救助隊については、救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令の第四条に書かれています。

第四条

1 救助隊の配置基準数(前条第二項の規定による増減を行つた場合には、当該増減後の配置基準数をいう。以下この項において同じ。)のうち、人口十万以上の消防常備市町村にあつては次の各号に定める数の合計数に一を加算した数(当該数が救助隊の配置基準数を超える場合は、当該救助隊の配置基準数とする。)、人口十万未満の消防常備市町村で中高層建築物、幹線道路、鉄道、空港、危険な作業を伴う事業場等に係る人命の救助が特に必要となると認められるものにあつては一の救助隊は、特別救助隊人命の救助に関する専門的な教育を受けた隊員五人以上で編成し、別表第一及び別表第二に掲げる救助器具並びに当該救助器具を積載することができる救助工作車一台を備えた救助隊をいう。以下同じ。)とする。

① 人口十万を超え百万までの人口について、人口十五万で除して得た数(整数未満の端数がある場合は、当該端数を切り捨てる。以下この項において同じ。)

② 人口百万を超え三百十万までの人口について、人口三十万で除して得た数

③ 人口三百十万を超える人口について、人口四十万で除して得た数

2  消防常備市町村の長は、地域特性を考慮して、前項に規定する要件を満たす救助隊の数を増減することができる

特別救助隊は、救助隊員5人以上で編成という点は救助隊と同じですが、先ほど説明した別表1に加えて別表2を積載しなければなりません。さらに、救助隊の条文には、その他の消防自動車と書かれたのに対し、特別救助隊の条文には救助工作車に限定されています。

また、第四条には、配置の基準も書かれています。その市町村の人口によって救助隊を特別救助隊にしなければなりません。

例えば人口が120万だった場合、②に該当するので、120万/30万=4。それに1を加えて、5隊以上は特別救助隊にしなければならないことになります。

高度救助隊

高度救助隊は、救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令の第五条に書かれいます。

第五条

特別救助隊の数のうち、特別区が連合して維持する消防、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)(指定都市が一部事務組合又は広域連合を設けて消防事務を処理している場合には、当該一部事務組合又は広域連合とする。次条において同じ。)、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(同項の中核市が一部事務組合又は広域連合を設けて消防事務を処理している場合には、当該一部事務組合又は広域連合とする。)及び消防庁長官が指定する消防常備市町村にあつては、一以上の特別救助隊は、高度救助隊人命の救助に関する専門的かつ高度な教育を受けた隊員五人以上で編成し、別表第一から別表第三までに掲げる救助器具及び当該救助器具を積載することができる救助工作車一台を備えた救助隊をいう。以下同じ。)とする。

高度救助隊は、特別救助隊に対して、隊員に関して高度な教育が追加されています。また、積載する救助器具に関しても別表3が追加されています。

高度救助隊の配置基準は、特別区が連合して維持する消防(東京消防庁)、中核都市及び指定都市に1以上配置しなければなりません。中核市とは人口20万人以上で指定された市、指定都市とは人口50万人で指定された都市です。つまり、人口の多い大きな都市には高度救助隊を配置するということです。

特別高度救助隊

高度救助隊は、救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令第六条に書かれています。

第六条

高度救助隊の数のうち、特別区が連合して維持する消防及び指定都市にあつては、一以上の高度救助隊は、特別高度救助隊(人命の救助に関する専門的かつ高度な教育を受けた隊員五人以上で編成し、別表第一から別表第三までに掲げる救助器具、当該救助器具を積載することができる救助工作車一台及び特殊災害対応自動車一台を備え、地域の実情に応じてウォーターカッター及び大型ブロアーを備えた救助隊をいう。以下同じ。)とする。

特別高度救助隊は、高度救助隊に特殊災害対応自動車1台を備えることが必須になってきます。また、必要に応じてウォーターカッター、大型ブロアーを備えることとなっています。

さらに、特別高度救助隊は、高度救助隊の配置基準から中核都市が抜け、大規模な消防にしか配備を義務つけていません。

まとめ

今回は、救助器具及び救助隊について説明してきました。救助隊に積載しなければならない救助器具は救助隊の種類で分けられており、別表1~3に分類されています。

また、救助隊は以下の4種類あります。

  • 救助隊
  • 特別救助隊
  • 高度救助隊
  • 特別高度救助隊

ハイパーレスキューは一般的に特別高度救助隊に該当します。横浜市の消防ではスーパーレンジャーと呼ばれています。

ハイパーレスキューは名前負けしない、救助のスペシャリストの集まりでした。

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